行政書士の科目別の配点|公表されていないので、過去6年を数えて出した

天秤の左の皿に大きい重り、右の皿に小さい重りが載り、手前に目盛りつきの物差しが置かれたイラスト 行政書士

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行政書士の勉強を始めて科目を見渡すと、「商法は捨てていい」「基礎法学は捨て科目」という声が気になりますよね。でも、どの科目が何点なのかがわからないと、捨てていいかどうかも決められません。

調べると、科目ごとの配点は公表されていないことがわかります。そこで、公開されている過去問6年分を数えて科目ごとの配点を出し、「捨てていい科目はどれか」をその点数で検算しました。

まず、行政書士試験の配点で公表されているものを確かめる

実施団体である行政書士試験研究センターの試験概要を読むと、科目はこう書かれています。

区分内容
行政書士の業務に関し必要な法令等(出題数46題)憲法、行政法(行政法の一般的な法理論、行政手続法、行政不服審査法、行政事件訴訟法、国家賠償法及び地方自治法を中心とする。)、民法、商法及び基礎法学
行政書士の業務に関し必要な基礎知識(出題数14題)一般知識、行政書士法等行政書士業務と密接に関連する諸法令、情報通信・個人情報保護及び文章理解
表1 試験概要に書かれている科目(出典:行政書士試験研究センター「試験の概要」)

「それぞれから出題します」とあるだけで、何問ずつ出るかは書かれていません。合否判定基準にも、試験問題の正解にも、科目ごとの内訳はありません。

項目公表
科目の名前あり
法令等46問・基礎知識14問という全体の出題数あり
配点(5肢択一4点・多肢選択式8点・記述式20点)あり
合格基準(法令等122点・基礎知識24点・全体180点)あり
過去6年分の試験問題と正解あり
科目ごとの出題数なし
科目ごとの配点なし
表2 実施団体が公表しているものと、していないもの(2026年9月9日時点で確認)

つまり「行政法は何点か」は、公表資料をいくら読んでも出てきません。数えるしかない。

行政書士試験の過去6年の問題を数えた

本試験の問題は令和2年度から令和7年度までの6年分が公開されています。この6年分をすべて取得して、5肢択一40問がどの科目なのかを1問ずつ見ました。なお令和8年度の問題は2026年11月16日以降に公表されます(公表の日程)。

数え方

最初は設問文のキーワードで機械的に分類しようとしました。これは使えませんでした。行政法の設問が民法に言及するので、年ごとに民法が9問から13問まで揺れてしまう。

そこで方法を変えて、科目の変わり目にあたる問題を、6年ぶん実際に読みました。問題3、問題8、問題27、問題36。この4か所が毎年同じ科目なら、並びは固定です。

年度問題3問題8問題27問題36
令和2年度未決勾留(憲法)食中毒の公表と国家賠償制限行為能力者運送品の特則(商法)
令和3年度予防接種の副反応(憲法)法の一般原則意思表示商行為(商法)
令和4年度表現の自由公法上の権利の一身専属性虚偽表示営業譲渡(商法)
令和5年度基本的人権の間接的制約行政行為の瑕疵消滅時効商行為(商法)
令和6年度人格権と夫婦同氏制行政行為(処分)失踪の宣告匿名組合(商法)
令和7年度法の下の平等行政行為(処分)行為能力交互計算(商法)
科目憲法行政法民法商法
表3 科目の変わり目にあたる問題(公開されている令和2〜7年度の試験問題から。設問の主題を要約)

6年とも、1問もずれていません。問題3は毎年かならず憲法、問題8は毎年かならず行政法。問題27で民法に変わり、問題36から商法に変わります。行政法の中でも、問題11〜19は行政手続法・行政不服審査法・行政事件訴訟法の3つでほぼ固定されていて、法律ごとの並びは行政書士の行政法、直前期はどこから読むかで数えました。

番号科目問数配点
問題1〜2基礎法学2問8点
問題3〜7憲法5問20点
問題8〜26行政法19問76点
問題27〜35民法9問36点
問題36〜40商法・会社法5問20点
合計—40問160点
表4 行政書士試験の5肢択一40問の番号帯と科目(★公表資料ではなく、上の6年分を数えて出したものです)

ただし、問題1は読めません

公開されている問題には欠番があります。実施団体のページに「問題1・58〜60については著作権の関係から掲載しておりません」と書かれています。年度によってはもう少し欠けていて、令和2年度は問題5、令和3年度は問題7、令和5年度は問題6と56も掲載されていません(いずれも実施団体のページの注記どおりです)。

欠けている問題1は基礎法学、58〜60は文章理解です。つまり基礎法学の2問のうち1問は、過去問では確認できません。ここは番号帯からの推定です。

行政書士試験の記述式と多肢選択式の配点も数えた

5肢択一の160点だけでは配点は決まりません。記述式60点と多肢選択式24点が残っています。

記述式は6年とも同じでした

年度問題44問題45問題46
令和2年度土地区画整理事業詐欺と第三者不法行為と登記
令和3年度学校教育法にもとづく措置債権譲渡工作物責任
令和4年度建築確認と検査済証無権代理賃借権
令和5年度議会の懲罰と司法審査抵当権請負
令和6年度電波法にもとづく免許売買他人物売買
令和7年度建築確認の拒否無権代理失火と事務管理
科目行政法(20点)民法(20点)民法(20点)
表5 記述式3問の主題(公開されている令和2〜7年度の試験問題から)

6年とも「行政法1問・民法2問」でした。記述式60点の内訳は、行政法20点・民法40点ということになります。

多肢選択式だけは、確定させません

行政書士試験の科目別の配点。行政法96点・民法76点・憲法20点・商法会社法20点・基礎法学8点を並べた横棒グラフ
図1 行政書士試験の科目ごとの配点(過去6年の試験問題を数えて出したもの)

多肢選択式3問(問題41〜43)は憲法と行政法から出ますが、配分が年によって動きます。令和7年度の問題41は憲法13条、問題42は条例と国の法令の関係でした。後者は憲法94条とも行政法とも読めます。多肢選択式が判決文の穴埋めになっている割合は行政書士の六法・判例集は必要かで数えました。

こういう問題を無理に振り分けると、数えた結果ではなく、こちらの決めつけになります。そこで、この24点は科目に割り当てずに残します。

科目5肢択一記述式合計法令等220点に占める割合
行政法76点20点96点43.6%
民法36点40点76点34.5%
憲法20点—20点9.1%
商法・会社法20点—20点9.1%
基礎法学8点—8点3.6%
合計160点60点220点—
表6 行政書士試験の科目別の配点(多肢選択式24点を除く。★過去6年を数えて出したものです)

行政法と民法だけで172点。多肢選択式を含めた法令等244点の70.5%、300点満点で見ても57.3%がこの2科目です。

行政書士試験の「捨て科目」を配点で検算する

ここまでの数字があれば、どの科目を捨てるといくら失うのかが計算できます。ほかを全部取れた場合の最大得点を並べます。

捨てる科目失う点最大得点合格ライン180点までの余裕
基礎法学8点292点112点
商法・会社法20点280点100点
憲法20点280点100点
民法76点224点44点
行政法96点204点24点
表7 行政書士試験で1科目を捨てた場合の最大得点(★上の配点にもとづく試算です)

基礎法学を捨てても、8点しか動かない

「捨て科目といえば基礎法学」とよく言われます。配点で見るとたしかにそのとおりで、2問8点。300点の2.7%です。

ただし裏を返せば、捨てても捨てなくても、勝負にはほとんど関係ありません。2問しかないので、対策にかかる時間も最初から少ない。「基礎法学を捨てる」は、判断としては軽すぎます。

本当の論点は商法・会社法の20点

商法・会社法は5問20点。基礎法学の2.5倍あります。会社法は範囲が広く、5問のために覚える量が多い。だから「捨てるかどうか」が実際に議論になるのはここです。

ただ、捨てても最大280点は残ります。合格ラインまで100点の余裕があるので、「捨てたら受からない」という科目ではありません。

行政法と民法は、捨てられません

行政書士試験で各科目を捨てた場合の最大得点を、合格ライン180点の赤い線と並べた棒グラフ
図2 1科目を捨てたとき、最大で何点まで届くか

この2つは性質が違います。両方を捨てた場合を計算します。

項目点
憲法20点
商法・会社法20点
基礎法学8点
多肢選択式(全問正解と仮定)24点
基礎知識(全問正解と仮定)56点
最大でも128点
表8 行政法と民法を両方捨てた場合(★試算です)

180点に52点足りません。ほかを1問も落とさなくても不合格です。これは難易度の話ではありません。算数として不可能だという話です。

行政法1科目だけを捨てた場合でも最大204点。余裕は24点しかないので、ほかの科目でほとんど落とせなくなります。実質的には捨てられません。

配点から見て、行政書士試験はどこから手をつけるか

配点が出たので、順番も決まります。配点の大きい順に、時間を先に置きます。

科目配点扱い
行政法96点最初に着手し、いちばん長く続ける。ここが本体
民法76点行政法と並行。記述式2問の出どころでもある
憲法20点過去問の範囲で確実に取る。深追いしない
商法・会社法20点時間が足りなければ削る候補。捨てても100点の余裕
基礎法学8点対策の必要がほぼない。2問しかない
多肢選択式24点憲法・行政法の勉強がそのまま効く
基礎知識56点24点の足切りだけ確保。深追いしない
表9 行政書士試験の科目ごとの位置づけ(★配点から整理したものです)

注意したいのは、記述式の40点が民法から出ていることです。民法は5肢択一では36点ですが、記述式を足すと76点になります。択一の問題数だけ見ていると、民法を軽く見積もります。その記述式12問の中身は行政書士の記述式に並べました。

記述式の対策が、そのまま民法の対策になる

記述式3問のうち2問は民法。6年ともそうでした。つまり民法の勉強と記述式の対策は、半分ぶん重なっています。別々の作業として時間を積むと、二重に数えることになります。

教材の選び方は行政書士のテキストと過去問に、必要な時間の見積もり方は行政書士の勉強時間にまとめています。

基礎知識は「捨て科目」の話に含めない

基礎知識56点には24点の足切りがあります。配点は小さくないのに、ここを落とすと法令等が満点でも不合格になる。だから捨てるかどうかの議論とは別枠です。

足切りの24点は6問。行政書士法・情報通信・個人情報保護・文章理解の3分野で届きます。範囲に上限のない一般知識まで手を広げる必要はありません。この3分野が実際に何問あるかは行政書士の足切りで6年ぶん数えました。

この記事の数字の出どころ

公表されている数字と、こちらで数えた数字を分けます。

数字出どころ裏が取れるか
科目名・法令等46問・基礎知識14問実施団体の試験概要取れる
配点(4点・8点・20点)と合格基準実施団体の公表資料取れる
科目ごとの出題数と番号帯★公開されている過去6年分を数えたもの取れる(同じ問題を数え直せる)
記述式の科目(行政法1・民法2)★同上。6年分すべてで一致取れる
多肢選択式24点の科目内訳★確定させていない★年によって動く
基礎法学のうち問題1★過去問が非公開。番号帯からの推定★取れない
捨てた場合の最大得点(表7・表8)★上の配点にもとづく試算—
学習の順番(表9)★配点から整理したもの—
表10 数字の出どころ

過去問を数えた部分は、誰でも同じ手順で確かめられます。実施団体のサイトで6年分が公開されていて、問題3・8・27・36を開くだけです。

よくある質問

行政書士試験の科目別の配点は?

公表されていません。過去6年の問題を数えると、多肢選択式を除いて行政法96点・民法76点・憲法20点・商法会社法20点・基礎法学8点でした。

捨て科目はありますか?

基礎法学は8点なので、捨てても動く点数は小さい科目です。行政法と民法は配点が大きく、捨てられません。

どの科目から手をつければいいですか?

配点の大きい行政法と民法からです。記述式の対策が、そのまま民法の対策にもなります。

まとめ

問い答え
科目ごとの配点は公表されているかされていない。数えるしかない
出題の並びは変わるか過去6年、1問もずれていない
いちばん配点が大きい科目は行政法96点。次が民法76点
捨てていい科目は基礎法学(8点)。ただし捨てても勝負に影響しない
議論になる科目は商法・会社法20点。捨てても100点の余裕がある
捨てられない科目は行政法と民法。両方捨てると最大128点で52点不足
表11 この記事の結論

「捨て科目はどれか」という問いは、配点を先に出せば、意見を戦わせる話ではなくなります。8点の科目と96点の科目を、同じ「1科目」として並べているのが混乱のもとでした。

試験そのものの難易度は行政書士試験の難易度と行政書士・宅建・社労士・司法書士の難易度を比べるに、独学で進められるかどうかは行政書士は独学で受かるのかに、通信講座を使う場合の費用は行政書士の通信講座は独学と何が違うのかにまとめています。

科目・配点・合格基準は2026年9月9日に一般財団法人行政書士試験研究センターの公表資料で、出題数は同日に同センターが公開している令和2年度〜令和7年度の試験問題を数えて確認しました。出題の構成は変更されることがあります。受験の前には最新の試験概要をご確認ください。

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