行政書士に挑戦してみようか。そう考えたとき、まず気になるのは「自分に受かる試験なのか」ですよね。ネットには偏差値やランキングが並んでいて、どれを信じればいいのか迷います。
調べると、行政書士試験は他人と競う試験ではないことがわかります。合格の基準は点数で決まっていて、300点満点で180点などの3つの基準を満たせば、誰でも受かります。合格率がどう動いてきたか、誰が受けて誰が受かっているか、180点をどう組み立てるか。この3つが分かれば、あなたにとって現実的な試験かどうかは判断できます。
先に一つ断っておきます。行政書士試験に偏差値は公表されていません。「偏差値62」といった数字をよく見かけますが、実施団体である一般財団法人行政書士試験研究センターが出したものではありません。出どころが分からない数字で難易度を語っても、判断の材料にはならないので、この記事では使いません。
以下の数値はすべて2026年9月8日に、同センターの公表資料で確認したものです。
まず、行政書士試験の直近の実施結果を見る
令和7年度の試験は、令和7年11月9日の日曜日、午後1時から午後4時まで、47都道府県の62試験場で行われました。
| 項目 | 令和7年度 | 令和6年度 | 前年度比 |
|---|---|---|---|
| 受験申込者数 | 63,845人 | 59,832人 | +4,013人(+6.71%) |
| 受験者数 | 50,163人 | 47,785人 | +2,378人(+4.98%) |
| 受験率 | 78.57% | 79.87% | −1.30ポイント |
| 合格者数 | 7,292人 | 6,165人 | +1,127人(+18.28%) |
| 合格率 | 14.54% | 12.90% | +1.64ポイント |
| 合格者の平均得点 | 197点 | 198点 | −1点 |
合格率14.54%。この数字だけを見ると「7人に1人」という話になりますが、そのまま受け取ると読み違えます。分母が何なのかを先に確認しておきます。
申込んだ人の5人に1人は、受けていない
見落とされやすいのが受験率です。63,845人が申し込んで、実際に会場に来たのは50,163人。13,682人が欠席しています。
つまり14.54%は「受けに来た人の中での割合」です。申し込んだ人を分母にすると11.42%まで下がります。
ただ、この読み替えにはもう一つの意味があります。11月の試験日まで勉強を続けて会場に座った時点で、すでに2割が脱落しているということです。受験料10,400円を払ったうえで来ていないので、多くは「間に合わなかった」人でしょう。合格率を押し下げている要因には、試験の難しさに加えて、続かなかったという事情も混ざっています。
| 年度 | 受験申込者数 | 受験者数 | 欠席者数 | 受験率 |
|---|---|---|---|---|
| 令和7年度 | 63,845 | 50,163 | 13,682 | 78.57% |
| 令和6年度 | 59,832 | 47,785 | 12,047 | 79.87% |
| 令和5年度 | 59,460 | 46,991 | 12,469 | 79.03% |
| 令和4年度 | 60,479 | 47,850 | 12,629 | 79.12% |
| 令和3年度 | 61,869 | 47,870 | 13,999 | 77.37% |
| 令和2年度 | 54,847 | 41,681 | 13,166 | 76.00% |
| 令和元年度 | 52,386 | 39,821 | 12,565 | 76.01% |
| 平成30年度 | 50,926 | 39,105 | 11,821 | 76.79% |
| 平成29年度 | 52,214 | 40,449 | 11,765 | 77.47% |
| 平成28年度 | 53,456 | 41,053 | 12,403 | 76.80% |
10年を通して76%から80%のあいだで安定しています。突出した年はありません。毎年およそ2割が、申し込んだまま受けずに終わっています。
行政書士試験の合格率は10年で9.95%から15.72%まで動いている
| 年度 | 受験申込者数 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
|---|---|---|---|---|
| 令和7年度 | 63,845 | 50,163 | 7,292 | 14.54% |
| 令和6年度 | 59,832 | 47,785 | 6,165 | 12.90% |
| 令和5年度 | 59,460 | 46,991 | 6,571 | 13.98% |
| 令和4年度 | 60,479 | 47,850 | 5,802 | 12.13% |
| 令和3年度 | 61,869 | 47,870 | 5,353 | 11.18% |
| 令和2年度 | 54,847 | 41,681 | 4,470 | 10.72% |
| 令和元年度 | 52,386 | 39,821 | 4,571 | 11.48% |
| 平成30年度 | 50,926 | 39,105 | 4,968 | 12.70% |
| 平成29年度 | 52,214 | 40,449 | 6,360 | 15.72% |
| 平成28年度 | 53,456 | 41,053 | 4,084 | 9.95% |

最も低い平成28年度が9.95%、最も高い平成29年度が15.72%。この2年は連続しており、1年で5.77ポイント動いています。
「例年10%前後」という説明を見かけますが、直近4年は12.13%、13.98%、12.90%、14.54%です。10%台前半から半ばで推移していて、平成28年度のような1桁台はここ10年で1回だけです。
合格率が動く理由は、相対評価ではないから
年によってこれだけ動くのは、上位何%を合格させるという試験ではないからです。あらかじめ決められた点数に届いた人が、何人いても全員合格します。
この性質は、受験する側の戦い方を変えます。周りの出来を気にしなくてよくなるからです。自分が180点を取れば、他の受験者が何点であっても合格します。難しい年は合格率が下がり、易しい年は上がる。合格率の上下は、その年の問題の難しさが結果として表れたものだと考えれば十分です。
裏を返せば、「今年は受験者が少ないから狙い目」といった考え方は成立しません。競争率という概念がない試験だからです。
受験者数も合格者数も増えている
| 年度 | 受験者数 | 前年比 | 合格者数 | 前年比 |
|---|---|---|---|---|
| 令和7年度 | 50,163 | +2,378人 | 7,292 | +1,127人 |
| 令和6年度 | 47,785 | +794人 | 6,165 | -406人 |
| 令和5年度 | 46,991 | -859人 | 6,571 | +769人 |
| 令和4年度 | 47,850 | -20人 | 5,802 | +449人 |
| 令和3年度 | 47,870 | +6,189人 | 5,353 | +883人 |
| 令和2年度 | 41,681 | +1,860人 | 4,470 | -101人 |
| 令和元年度 | 39,821 | +716人 | 4,571 | -397人 |
| 平成30年度 | 39,105 | -1,344人 | 4,968 | -1,392人 |
| 平成29年度 | 40,449 | -604人 | 6,360 | +2,276人 |
| 平成28年度 | 41,053 | — | 4,084 | — |
令和2年度に41,681人まで落ちた受験者数は、令和7年度には50,163人まで戻りました。5年で8,482人の増加です。合格者数も4,470人から7,292人へ、2,822人増えています。
受験者が増えても合格率が下がっていないところが、絶対評価の試験らしいところです。
行政書士試験は誰が受けて、誰が受かっているのか
ここが、行政書士試験のイメージと実態が最もずれるところです。
| 年代 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
|---|---|---|---|
| 10歳代以下 | 723 | 66 | 9.13% |
| 20歳代 | 8,294 | 1,517 | 18.29% |
| 30歳代 | 9,907 | 1,923 | 19.41% |
| 40歳代 | 12,161 | 1,867 | 15.35% |
| 50歳代 | 12,330 | 1,445 | 11.72% |
| 60歳代以上 | 6,748 | 474 | 7.02% |
| 合計 | 50,163人 | 7,292人 | 14.54% |

受験者の8割は30代以上
30歳代以上を合計すると41,146人。受験者全体の82.02%にあたります。合格者で見ても5,709人で78.29%です。
| 年代 | 受験者に占める割合 | 合格者に占める割合 |
|---|---|---|
| 10歳代以下 | 1.44% | 0.91% |
| 20歳代 | 16.53% | 20.80% |
| 30歳代 | 19.75% | 26.37% |
| 40歳代 | 24.24% | 25.60% |
| 50歳代 | 24.58% | 19.82% |
| 60歳代以上 | 13.45% | 6.50% |
最も人数が多いのは50歳代の12,330人、次いで40歳代の12,161人です。この2つで受験者の約半分を占めます。一方、20歳代は8,294人しかいません。定年後の仕事として50代から目指す場合の時間と費用は、定年後に行政書士、50代から始めて間に合うかで計算しました。
学生が短期集中で取る試験というイメージがあるとしたら、数字はそう言っていません。働いている大人が受ける試験です。
合格率が最も高いのは30代
年代別の合格率を見ると、30歳代が19.41%で最も高く、20歳代の18.29%を上回っています。40歳代も15.35%で、全体平均の14.54%より上です。
| 年代 | 令和7年度 | 令和6年度 | 令和5年度 |
|---|---|---|---|
| 10歳代以下 | 9.13% | 10.63% | 8.20% |
| 20歳代 | 18.29% | 16.72% | 16.92% |
| 30歳代 | 19.41% | 16.72% | 17.84% |
| 40歳代 | 15.35% | 13.17% | 14.52% |
| 50歳代 | 11.72% | 10.09% | 11.45% |
| 60歳代以上 | 7.02% | 7.35% | 8.48% |
3年ともほぼ同じ形をしています。20代と30代が高く、年代が上がるにつれて下がり、60歳代以上は7%台まで落ちる。単年の偶然ではありません。
この形をどう受け取るかです。「仕事と両立する30代・40代は不利」という話には、少なくとも数字上はなっていません。むしろ最も受かっているのが30代です。人数の中心は40代・50代なので、母集団そのものが働いている世代でできています。
時間が取れないことは、行政書士試験では決定的な不利ではない。データはそう読めます。
男女の差は2ポイント程度
| 年度 | 男性 受験者 | 男性 合格者 | 男性 合格率 | 女性 受験者 | 女性 合格者 | 女性 合格率 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 令和7年度 | 33,313 | 5,099 | 15.31% | 16,850 | 2,193 | 13.01% |
| 令和6年度 | 31,887 | 4,448 | 13.95% | 15,898 | 1,717 | 10.80% |
| 令和5年度 | 31,640 | 4,636 | 14.65% | 15,351 | 1,935 | 12.61% |
令和7年度は男性15.31%、女性13.01%で、差は2.30ポイントでした。受験者に占める女性の割合は33.59%です。
ただし合格者数の伸びを見ると、女性は前年から27.72%増えており、男性の14.64%増を上回っています。差は縮まる方向に動いています。
年齢の幅
| 区分 | 最年長 | 最年少 |
|---|---|---|
| 合格者 | 77歳(1名) | 13歳(1名) |
| 受験申込者 | 94歳(1名) | 9歳(1名) |
受験資格に年齢・学歴・国籍の制限がありません。9歳が申し込み、13歳が合格しています。上は94歳が申し込み、77歳が合格しています。
この幅の広さは、裏を返せば前提知識を問わない試験だということでもあります。法学部を出ていることが条件になっていません。
行政書士試験は、試験地によって合格率が違うのか
受験地は住民票の住所と関係なく、全国どの試験場でも選べます。そうすると気になるのが、都道府県で合格率に差があるのかどうかです。
| 都道府県 | 受験申込者数 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
|---|---|---|---|---|
| 北海道 | 1,847 | 1,448 | 215 | 14.85% |
| 青森県 | 305 | 241 | 28 | 11.62% |
| 岩手県 | 368 | 293 | 41 | 13.99% |
| 宮城県 | 1,109 | 881 | 99 | 11.24% |
| 秋田県 | 242 | 186 | 21 | 11.29% |
| 山形県 | 282 | 228 | 20 | 8.77% |
| 福島県 | 557 | 455 | 45 | 9.89% |
| 茨城県 | 825 | 659 | 80 | 12.14% |
| 栃木県 | 779 | 624 | 83 | 13.30% |
| 群馬県 | 961 | 768 | 107 | 13.93% |
| 埼玉県 | 2,644 | 2,054 | 278 | 13.53% |
| 千葉県 | 2,798 | 2,196 | 350 | 15.94% |
| 東京都 | 17,074 | 13,133 | 2,048 | 15.59% |
| 神奈川県 | 3,045 | 2,286 | 326 | 14.26% |
| 新潟県 | 706 | 570 | 75 | 13.16% |
| 富山県 | 397 | 310 | 52 | 16.77% |
| 石川県 | 442 | 346 | 34 | 9.83% |
| 福井県 | 270 | 223 | 32 | 14.35% |
| 山梨県 | 283 | 239 | 29 | 12.13% |
| 長野県 | 735 | 602 | 76 | 12.62% |
| 岐阜県 | 707 | 564 | 85 | 15.07% |
| 静岡県 | 1,490 | 1,169 | 176 | 15.06% |
| 愛知県 | 4,082 | 3,251 | 498 | 15.32% |
| 三重県 | 574 | 457 | 63 | 13.79% |
| 滋賀県 | 625 | 503 | 79 | 15.71% |
| 京都府 | 1,496 | 1,135 | 147 | 12.95% |
| 大阪府 | 5,436 | 4,312 | 645 | 14.96% |
| 兵庫県 | 2,487 | 1,998 | 288 | 14.41% |
| 奈良県 | 752 | 634 | 95 | 14.98% |
| 和歌山県 | 370 | 310 | 48 | 15.48% |
| 鳥取県 | 177 | 138 | 17 | 12.32% |
| 島根県 | 243 | 190 | 22 | 11.58% |
| 岡山県 | 830 | 673 | 103 | 15.30% |
| 広島県 | 1,197 | 945 | 151 | 15.98% |
| 山口県 | 364 | 290 | 36 | 12.41% |
| 徳島県 | 262 | 206 | 33 | 16.02% |
| 香川県 | 453 | 361 | 65 | 18.01% |
| 愛媛県 | 518 | 418 | 62 | 14.83% |
| 高知県 | 198 | 166 | 26 | 15.66% |
| 福岡県 | 2,534 | 2,009 | 252 | 12.54% |
| 佐賀県 | 364 | 285 | 36 | 12.63% |
| 長崎県 | 355 | 295 | 44 | 14.92% |
| 熊本県 | 671 | 543 | 86 | 15.84% |
| 大分県 | 372 | 303 | 35 | 11.55% |
| 宮崎県 | 326 | 251 | 28 | 11.16% |
| 鹿児島県 | 539 | 421 | 55 | 13.06% |
| 沖縄県 | 754 | 594 | 78 | 13.13% |
| 合計 | 63,845 | 50,163 | 7,292 | 14.54% |
最も高いのは香川県の18.01%、最も低いのは山形県の8.77%。差は9.24ポイントあります。数字だけ見れば「香川で受ければ受かりやすい」ように見えます。
ただし、上位県は分母が小さい
しかし香川県の受験者は361人です。富山県は310人、徳島県は206人。数百人の集団では、数人の増減で合格率が1ポイント以上動きます。
受験者2,000人以上の都府県だけを取り出すと、様子が変わります。
| 都道府県 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
|---|---|---|---|
| 千葉県 | 2,196 | 350 | 15.94% |
| 東京都 | 13,133 | 2,048 | 15.59% |
| 愛知県 | 3,251 | 498 | 15.32% |
| 大阪府 | 4,312 | 645 | 14.96% |
| 神奈川県 | 2,286 | 326 | 14.26% |
| 埼玉県 | 2,054 | 278 | 13.53% |
| 福岡県 | 2,009 | 252 | 12.54% |

7都府県すべてが12.54%から15.94%のあいだに収まりました。差は3.40ポイントで、全国の9.24ポイントより大幅に狭い。都道府県差の正体は、母数の小ささによる振れです。
試験問題は全国で同一です。有利な試験地を探すことに意味はありません。通いやすい会場を選んでください。
なお東京都の受験者は13,133人で、全国の26.18%を占めます。4人に1人が東京で受けている計算です。
行政書士試験は何点取れば合格なのか
ここからが、難易度を自分の問題として考えるための部分です。行政書士試験は300点満点で、合格に必要な点数が毎年公表されています。
| 試験科目 | 出題形式 | 出題数 | 満点 |
|---|---|---|---|
| 法令等 | 択一式(5肢択一式) | 40問 | 160点 |
| 法令等 | 択一式(多肢選択式) | 3問 | 24点 |
| 法令等 | 記述式 | 3問 | 60点 |
| 法令等 小計 | — | 46問 | 244点 |
| 基礎知識 | 択一式(5肢択一式) | 14問 | 56点 |
| 合計 | — | 60問 | 300点 |
法令等が244点、基礎知識が56点。配点の8割が法令等に寄っています。ここが主戦場です。
| 出題形式 | 1問あたり | 内訳 |
|---|---|---|
| 5肢択一式 | 4点 | — |
| 多肢選択式 | 8点 | 空欄(ア〜エ)一つにつき2点 |
| 記述式 | 20点 | — |
1問20点という配点は記述式だけです。5肢択一なら5問分。3問あるので、択一15問分に相当します。この重さが後で効いてきます。
基準は3つあり、すべて満たす必要がある
| 要件 | 必要な得点 | 満点 | 必要な得点率 |
|---|---|---|---|
| 法令等科目の得点 | 122点以上 | 244点 | 50.00% |
| 基礎知識科目の得点 | 24点以上 | 56点 | 42.86% |
| 試験全体の得点 | 180点以上 | 300点 | 60.00% |
この3つは「いずれか」ではなく「いずれも」です。全体で200点取っていても、基礎知識が20点なら不合格になります。足切りが2か所ある試験だと考えてください。
基礎知識の24点は、1問4点なので14問中6問の正解にあたります。配点は全体の2割弱しかないのに、ここを落とすと法令等でどれだけ稼いでも届きません。配点の小さい科目に落とし穴があるという構造です。14問の中身を6年ぶん数えて、どの番号で6問を取るかを行政書士の足切りに書きました。
法令等の122点は244点の半分ちょうど。全体の180点は300点の6割ちょうど。数字がきれいなので覚えやすいはずです。
合格者は平均で197点を取っている
| 項目 | 点数 | 300点に対する得点率 |
|---|---|---|
| 合格基準点 | 180点 | 60.00% |
| 令和7年度 合格者平均得点 | 197点 | 65.67% |
| 令和6年度 合格者平均得点 | 198点 | 66.00% |
| 基準点との差(令和7年度) | +17点 | +5.67ポイント |
合格者の平均は、基準から17点ほど上に集まっています。180点を目標にすると、上振れも下振れもあるなかで下に外れた人が落ちる。200点を目標にして180点で着地するという設計のほうが、実際の分布に近いということです。
180点をどう作るか
ここからは公表資料を離れ、配点表から計算した組み立て方に入ります。使っている数字は配点と基準点なので確かめられますが、どこで何点取るかの配分は一つの考え方にすぎません。
記述式を除くと満点は240点
最初に押さえたい数字があります。記述式3問を除いた満点は240点です。
| 出題形式 | 満点 |
|---|---|
| 法令等 5肢択一式 | 160点 |
| 法令等 多肢選択式 | 24点 |
| 基礎知識 5肢択一式 | 56点 |
| 合計 | 240点 |
ここで1点も取れない前提を置くと、残り240点で180点を取ることになります。必要な得点率は75.00%。択一で4問に3問です。かなり厳しい水準になります。
逆に、記述式で60点の半分にあたる30点を見込めるなら、残りで必要なのは150点。240点に対して62.50%まで下がります。その30点が取れる形かどうかは、公表されている正解例18問を並べた行政書士の記述式で確かめられます。
| 記述式の得点 | 択一等で必要な点数 | 240点に対する必要得点率 |
|---|---|---|
| 0点 | 180点 | 75.00% |
| 10点 | 170点 | 70.83% |
| 20点 | 160点 | 66.67% |
| 30点 | 150点 | 62.50% |
| 40点 | 140点 | 58.33% |
| 60点 | 120点 | 50.00% |
記述式を捨てる戦略が成立しにくいのは、この差のためです。3問しかない設問が、択一全体に求められる精度を12ポイント以上動かします。
組み立ての一例
60点中24点と控えめに見積もった場合、たとえばこういう積み方になります。
| 出題形式 | 正解数 | 得点 | 基準の達成 |
|---|---|---|---|
| 法令等 5肢択一式 | 40問中28問 | 112点 | — |
| 法令等 多肢選択式 | 12空欄中8つ | 16点 | — |
| 法令等 記述式 | — | 24点 | — |
| 法令等 小計 | — | 152点 | 122点以上を達成 |
| 基礎知識 5肢択一式 | 14問中8問 | 32点 | 24点以上を達成 |
| 合計 | — | 184点 | 180点以上を達成 |
5肢択一で40問中28問、7割です。基礎知識は14問中8問。これで3つの基準をすべて満たします。
満点を取る試験ではありません。4割近く間違えても合格します。この感覚を最初に持てるかどうかで、教材の選び方も勉強の順番も変わってきます。
行政書士試験の3時間をどう使うか
試験時間は午後1時から午後4時までの3時間、180分です。出題数は60問。
| 出題形式 | 問題数 | 仮に割り当てる時間 | 1問あたり |
|---|---|---|---|
| 法令等 5肢択一式 | 40問 | 100分 | 2分30秒 |
| 法令等 多肢選択式 | 3問 | 15分 | 5分 |
| 基礎知識 5肢択一式 | 14問 | 35分 | 2分30秒 |
| 法令等 記述式 | 3問 | 25分 | 8分20秒 |
| 見直し・マークの確認 | — | 5分 | — |
| 合計 | 60問 | 180分 | 平均3分 |
単純に割れば1問3分ですが、記述式に20点分の重みがある以上、そこに時間を残す必要があります。択一を2分30秒で処理できるかどうかが、記述式に使える時間を決めます。
これは知識の量とは別の能力です。過去問を解くときに時間を計る意味は、ここにあります。
行政書士試験の中身と、受験の基本情報
| 科目 | 出題数 | 内容 |
|---|---|---|
| 行政書士の業務に関し必要な法令等 | 46題 | 憲法、行政法(行政法の一般的な法理論、行政手続法、行政不服審査法、行政事件訴訟法、国家賠償法、地方自治法を中心とする)、民法、商法、基礎法学 |
| 行政書士の業務に関し必要な基礎知識 | 14題 | 一般知識、行政書士法等行政書士業務と密接に関連する諸法令、情報通信・個人情報保護、文章理解 |
基礎知識は令和6年度から現在の形になりました。それ以前は「一般知識等」という名称で、範囲も異なります。令和5年度以前の教材や体験談を読むときは、ここが変わっていることを頭に置いてください。
法令については、試験を実施する日の属する年度の4月1日時点で施行されている法令から出題されます。教材の対応年度にこだわる理由は、この一文にあります。中古の前年度版を買うと、改正部分がそのまま失点になります。条文そのものを読む必要があるかどうかは、設問文を6年分数えた行政書士の六法・判例集は必要かで科目ごとに分けています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 受験資格 | 年齢、学歴、国籍等に関係なく、どなたでも受験できる |
| 試験日 | 毎年1回、11月の第2日曜日 |
| 試験時間 | 午後1時から午後4時まで(3時間) |
| 試験地 | 全国。現在の住まいや住民票の住所に関係なく、全国の試験場で受験できる |
| 試験場 | 47都道府県62試験場(令和7年度実績) |
| 試験場所の公示 | 毎年7月の第2週 |
| 受験手数料 | 10,400円 |
| 出題形式 | 法令等は択一式および記述式、基礎知識は択一式 |
| 試験の方法 | 筆記試験 |
| 実施団体 | 総務大臣指定試験機関 一般財団法人行政書士試験研究センター |
受験手数料は一度払い込むと、地震や台風などで試験が実施されなかった場合などを除いて返還されません。
試験地の公示が7月の第2週、試験日が11月の第2日曜日。会場が分かってから本番まで4か月しかありません。逆算すると、勉強を始めるタイミングは公示より前になります。日程の全体は行政書士の試験日に、申込みの期間から合格発表まで並べてあります。
よくある質問
行政書士試験の合格率はどのくらいですか?
過去10年で9.95%から15.72%の間で動いています。令和7年度は50,163人が受けて7,292人が合格し、合格率は14.54%でした。
行政書士試験の偏差値はいくつですか?
偏差値は公表されていません。実施団体が出している数字ではないので、見かける偏差値は各サイトが独自に付けたものです。
何点取れば合格しますか?
300点満点で180点以上、法令等で122点以上、基礎知識で24点以上の3つをすべて満たすと合格です。他の受験者との比較で決まる試験ではありません。
働きながらでも受かりますか?
受験者の8割は30代以上で、人数の中心は40代と50代です。働きながら受ける人が中心の試験なので、勉強時間をどう確保するかが分かれ目になります(行政書士の勉強時間)。
結局、行政書士試験の難易度をどう見るか
ここまでの数字を並べ直します。
- 合格率は直近10年で9.95%〜15.72%。令和7年度は14.54%
- 上位何%を合格させる試験ではない。180点を取れば全員が合格する
- 申込者の約2割は受験していない。受験率は10年間76〜80%
- 受験者の82.02%が30歳代以上。人数の中心は40代と50代
- 合格率が最も高いのは30歳代の19.41%。40歳代も全体平均を上回る
- 都道府県による合格率の差は、受験者2,000人以上に絞ると3.40ポイントに収まる
- 基準は3つ。法令等122点・基礎知識24点・全体180点をすべて満たす必要がある
- 基礎知識は14問中6問取れないと、他が満点でも不合格になる
- 合格者の平均得点は197点で、基準より17点上
- 記述式を0点と見込むと、残り240点で75%が必要になる
数字から読めるのは、努力の総量より設計で決まる試験だということです。相対評価ではないので他人と競う必要がなく、代わりに3つの基準を同時に満たす組み立てが要ります。配点の小さい基礎知識で6問取れなければ、法令等が満点でも終わります。
そして受験者層を見れば、これは働いている大人が受ける試験です。1日中勉強できる人が有利になる形にはなっていません。むしろ30代・40代の合格率が全体平均を上回っています。時間が取れないことは、行政書士試験では決定的な不利ではない。
4割近く間違えても受かる試験を、どの4割を捨てるかという問題として捉え直せるかどうか。難易度の実体は、そこにあります。
ここまで行政書士だけを見てきましたが、行政書士試験が他とくらべてどうなのかは、また別の問いです。宅建・社労士・司法書士との違いは行政書士・宅建・社労士・司法書士の難易度を比べる|公式データで見る4つの違いにまとめました。合格率だけでは比べられない理由も、そちらで書いています。
独学で届くのかどうかは行政書士は独学で受かるのか|公式データから見る、始める前の判断材料にまとめました。教材の選び方は行政書士のテキストと過去問|300点の設計から逆算してそろえるにまとめています。必要な勉強時間の見積もりは行政書士の勉強時間は800時間?に、通信講座を使う場合の費用は行政書士の通信講座は独学と何が違うのかに、科目ごとの配点は行政書士の科目別の配点にまとめました。
この記事の数値は2026年9月8日に、一般財団法人行政書士試験研究センターの公表資料で確認しました。制度、日程、手数料は変更されることがあります。出願の前には必ず同センターが公表する最新の内容をご確認ください。

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