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行政書士のテキストを買おうと調べると、「おすすめ5選」がたくさん出てきますよね。どれも良さそうに見えて、結局何冊そろえればいいのかがわからない。
調べると、必要な本は、300点満点のどこで点を取るかで決まることがわかります。法令等122点、基礎知識24点、全体180点。この3つの基準から逆にたどると、本の種類と冊数が出ます。
本の名前と価格は2026年9月8日に確認したものです。
まず、行政書士の教材で買わなくても手に入るもの
教材の話に入る前に、費用のかからない材料があります。本試験の問題そのものが、実施団体のサイトで公開されています。
| 資料 | 内容 | 年度 |
|---|---|---|
| 試験問題 | 本試験の問題(PDF) | 令和2年度から令和7年度までの6年分 |
| 試験問題の正解 | 年度ごとの正解 | 各年度 |
| 合否判定基準 | 配点と合格基準点 | 各年度 |
| 試験結果の推移 | 申込者数・受験者数・合格者数・合格率 | 最近10年間 |
| 受験者・合格者の属性 | 年代別・男女別の内訳 | 最近3年間 |
| 都道府県別試験結果一覧 | 47都道府県ごとの結果 | 各年度 |
解説はついていません。なぜ間違えたのかは分かりません。ただ、「自分にこの試験の文章が読めるのか」を確かめるだけなら、これで足ります。教材を選ぶ前に1年分を解いておくと、この後の判断がまるで変わります。
そろえる基準は、行政書士試験300点の内訳から出す
| 要件 | 必要な得点 | 満点 | 必要な得点率 |
|---|---|---|---|
| 法令等科目の得点 | 122点以上 | 244点 | 50.00% |
| 基礎知識科目の得点 | 24点以上 | 56点 | 42.86% |
| 試験全体の得点 | 180点以上 | 300点 | 60.00% |
この3つは「いずれか」ではなく「いずれも」です。ここから、教材について2つのことが決まります。
ひとつは基礎知識を捨てられないこと。配点は56点で全体の2割弱ですが、14問中6問を正解できなければ、法令等が満点でも不合格になります。「法令のテキストだけ買えばいい」という選び方は成立しません。
もうひとつは記述式に手を打つ必要があること。記述式3問で60点、全体の20%です。ここを0点と見込むと、残り240点で180点、つまり75.00%が必要になります。択一だけで4問に3問です。
この配点の詳しい読み方は行政書士は独学で受かるのか|公式データから見る、始める前の判断材料に書いています。
行政書士の市販教材は、5つの役割に分かれている
書店に並んでいる本は種類が多く見えますが、役割で整理すると5つです。
| 役割 | 何をする本か | 300点のどこに効くか |
|---|---|---|
| 基本テキスト | 科目ごとの内容を通して読む | 法令等244点の土台 |
| 問題集 | 分野別に区切って解く | インプットの確認 |
| 過去問集(肢別・年度別・項目別) | 本試験の問題を反復する | 択一160点+24点の精度 |
| 記述式対策 | 40字程度で書く練習 | 記述式60点 |
| 直前予想模試 | 時間を計って通しで解く | 3時間の時間配分 |
この5つはどれか1冊で代用できません。基本テキストを何周しても記述式は書けるようになりませんし、過去問だけを回しても、初見の条文には対応できません。記述式で何を書けるようになればいいかは行政書士の記述式に、公表されている正解例18問から逆算して書きました。
ただし全部を最初にそろえる必要もありません。買う順番は後で扱います。
行政書士テキスト主要5シリーズの構成と価格
市販教材は、出版社ごとにシリーズで組まれています。2026年度版が出ているのは5系統です。合格革命(早稲田経営出版)、みんなが欲しかった!(TAC出版)、出る順(LEC東京リーガルマインド)、うかる!(伊藤塾編/日本経済新聞出版)、合格のトリセツ(LEC東京リーガルマインド)。LECだけが、出る順と合格のトリセツという2系統を並行して出しています。2つの違いは行政書士の出る順とトリセツ、LECの2つのテキストの違いで並べています。TACの本は、みんなが欲しかった!のほかにスッキリわかると、TACグループの合格革命があり、3つの違いはTACの行政書士2027年度版、3つのシリーズの違いにまとめました。シリーズ全体の構成で、1つずつ並べます。
価格は2026年9月23日に楽天ブックスで確認した税込価格です。書籍は改訂と在庫で変動します。
| 役割 | 書名 | 価格(2026年9月8日時点) | 購入先 |
|---|---|---|---|
| 基本テキスト | 合格革命 行政書士 基本テキスト | 3,190円 | 楽天 / Amazon |
| 問題集 | 合格革命 行政書士 基本問題集 | 2,860円 | 楽天 / Amazon |
| 過去問(肢別) | 合格革命 行政書士 肢別過去問集 | 3,850円 | 楽天 / Amazon |
| 一問一答 | 合格革命 行政書士 一問一答式 出るとこ千問ノック | 1,980円 | 楽天 / Amazon |
| 記述式対策 | 合格革命 行政書士 40字記述式・多肢選択式問題集 | 1,650円 | 楽天 / Amazon |
| 直前対策 | 合格革命 行政書士 法改正と直前予想模試 | 1,760円 | 楽天 / Amazon |
| 中核3冊 | 基本テキスト+基本問題集+肢別過去問集 | 9,900円 | 楽天(3冊セット) |
基本テキスト・基本問題集・肢別過去問集の3冊が中核です。3冊を個別に買うと合計9,900円で、セットも同額でした。
| 役割 | 書名 | 価格(2026年9月8日時点) | 購入先 |
|---|---|---|---|
| 入門 | みんなが欲しかった!行政書士 合格へのはじめの一歩 | 1,760円 | 楽天 / Amazon |
| 基本テキスト | みんなが欲しかった!行政書士の教科書 | 3,300円 | 楽天 / Amazon |
| 問題集 | みんなが欲しかった!行政書士の問題集 | 2,860円 | 楽天 / Amazon |
| 過去問(年度別) | みんなが欲しかった!行政書士の5年過去問題集 | 2,860円 | 楽天 / Amazon |
| 記述式対策 | みんなが欲しかった!行政書士の40字記述式問題集 | 1,760円 | 楽天 / Amazon |
| 直前対策 | みんなが欲しかった!行政書士の最重要論点150 | 1,650円 | 楽天 / Amazon |
| 中核2冊 | 教科書+問題集(2冊セット) | 6,160円 | 楽天(2冊セット) |
| 役割 | 書名 | 価格(2026年9月8日時点) | 購入先 |
|---|---|---|---|
| 基本テキスト | 出る順行政書士 合格基本書 | 3,080円 | 楽天 / Amazon |
| 問題集 | 出る順行政書士 合格問題集 | 2,640円 | 楽天 / Amazon |
| 過去問(法令) | 出る順行政書士 ウォーク問 過去問題集1 法令編 | 2,970円 | 楽天 / Amazon |
| 過去問(基礎知識) | 出る順行政書士 ウォーク問 過去問題集2 基礎知識編 | 1,760円 | 楽天 / Amazon |
| 過去問(肢別) | 出る順行政書士 良問厳選 肢別過去問題集 | 3,850円 | 楽天 / Amazon |
| 記述式対策 | 出る順行政書士 40字記述式・多肢選択式問題集 | 1,650円 | 楽天 / Amazon |
| 直前対策 | 出る順行政書士 最重要論点250 | 1,650円 | 楽天 / Amazon |
| 直前対策 | 出る順行政書士 当たる!直前予想模試 | 1,760円 | 楽天 / Amazon |
| セット | 合格基本書+合格問題集(2点セット) | 5,720円 | 楽天 |
| 役割 | 書名 | 価格(2026年9月23日時点) | 購入先 |
|---|---|---|---|
| 入門 | うかる!行政書士 入門ゼミ | 1,760円 | 楽天 / Amazon |
| 基本テキスト | うかる!行政書士 総合テキスト | 3,300円 | 楽天 / Amazon |
| 問題集 | うかる!行政書士 総合問題集 | 2,860円 | 楽天 / Amazon |
| 過去問(一問一答) | うかる!行政書士 一問一答過去問セレクション | 3,300円 | 楽天 / Amazon |
| 中核2冊 | 総合テキスト+総合問題集 | 6,160円 | セット商品はありません |
うかる!には記述式だけを扱う1冊と、直前予想模試がありません。2026年度版として確認できたのは、この4冊だけです。記述式の問題は総合問題集の中に入っています。伊藤塾の講座との関係は伊藤塾の行政書士テキスト「うかる!」と講座、どれを選ぶかに並べました。
| 役割 | 書名 | 価格(2026年9月23日時点) | 購入先 |
|---|---|---|---|
| 基本テキスト | 行政書士 合格のトリセツ 基本テキスト | 3,300円 | 楽天 / Amazon |
| 問題集 | 行政書士 合格のトリセツ 基本問題集 | 2,860円 | 楽天 / Amazon |
| 記述式・多肢選択式対策 | 行政書士 合格のトリセツ 多肢選択式・記述式に出る 重要判例解説 | 2,640円 | 楽天 / Amazon |
| 中核2冊 | 基本テキスト+基本問題集 | 6,160円 | 楽天(2点セット) |
| 3点 | 上記+重要判例解説 | 8,800円 | 楽天(3点セット) |
合格のトリセツはシリーズが3冊しかありません。商品ページにも「全3点」と書かれています。出る順と同じLECの本ですが、冊数を絞ったぶん、基本テキストをオールカラーの5分冊にしています。
シリーズをそろえる意味
どのシリーズも、テキストと問題集が同じ章立てで作られています。テキストのこの節を読んだら問題集のこの問題、という対応が付いている。そろえられる冊数にも差があります。合格革命は6冊、出る順は8冊を確認できたのに対して、うかる!は4冊、合格のトリセツは3冊。冊数が少ないシリーズは、そもそも組み合わせに迷う余地がありません。
別々の出版社で組み合わせると、この対応が消えます。「テキストはA社、過去問はB社」という買い方が悪いわけではありませんが、章立てを自分で対応づける手間が増えます。独学でその手間を負うかどうかは、判断が要るところです。
一式でいくらか
| シリーズ | 中核の構成 | 合計 |
|---|---|---|
| 合格革命 | 基本テキスト+基本問題集+肢別過去問集 | 9,900円 |
| みんなが欲しかった! | 教科書+問題集(2冊セット) | 6,160円 |
| 出る順 | 合格基本書+合格問題集(2点セット) | 5,720円 |
| うかる! | 総合テキスト+総合問題集 | 6,160円 |
| 合格のトリセツ | 基本テキスト+基本問題集(2点セット) | 6,160円 |
中核だけなら5,720円から9,900円。5つのうち3つが6,160円で並びます。ここに記述式対策と直前予想模試を足すと、1万円台の前半に収まります。受験手数料が10,400円なので、教材費は受験料と同じくらいと考えておくと見積もりを外しません。
この金額は、通信講座を検討するときの比較の基準にもなります。
いちばん外してはいけないのは、対応年度
どのシリーズを選ぶかより、何年度版を買うかのほうが失点に直結します。理由が2つあります。
理由1 法令は「その年の4月1日時点」で出る
実施団体の試験概要には、法令について次のように書かれています。試験を実施する日の属する年度の4月1日現在施行されている法令に関して出題する、と。
つまり前年度版を安く買うと、その1年ぶんの改正がそのまま失点になります。中古が割に合わなくなるのはここです。肢別過去問集の版の選び方は、行政書士の肢別過去問集、前年度版で足りる?で詳しく書いています。行政書士試験に落ちて来年もう一度受けるときに、どの本を買い直すかは行政書士に落ちたら、テキストは買い直す?で分けています。
理由2 基礎知識は令和6年度から変わっている
実施団体の試験概要には「行政書士の業務に関し必要な基礎知識(出題数14題)(令和6年度試験から適用)」と明記されています。
令和5年度以前は名称が違いました。令和5年度の本試験問題を見ると、問題47の前に「一般知識等」という見出しがあり、問題47から問題60までが択一式だと書かれています。出題数14問は同じですが、科目の名前も範囲も入れ替わっています。
| 分野 | 備考 |
|---|---|
| 一般知識 | — |
| 行政書士法等行政書士業務と密接に関連する諸法令 | 令和6年度からの区分 |
| 情報通信・個人情報保護 | — |
| 文章理解 | 法律知識と関係なく、対策の性格が違う |
令和5年度以前の教材や合格体験記を読むときは、この科目の話は現在と前提が違います。ネット上の体験談には、いまも旧形式のまま残っているものがあります。
いまは年度版の端境期
2026年9月時点では、2026年度版が現行で、書店に並んでいます。一方で2027年度版はすでに予約受付が始まっています。合格革命のスタートダッシュが2026年10月22日、みんなが欲しかった!の合格へのはじめの一歩が2026年11月13日の発売予定。入門書の比べ方は行政書士の入門書はどれを買う?にまとめました。ここまでは入門書ですが、合格のトリセツだけは、テキストと問題集と重要判例解説の3冊そのものが2026年11月9日発売で予約に出ています。シリーズごとの発売日の見込みは行政書士の2027年度版テキストはいつ出る?に並べました。
| 受験する年 | 買う年度版 | 注意点 |
|---|---|---|
| 2026年11月の試験を受ける | 2026年度版 | いま並んでいるもの。改訂は済んでいる |
| 2027年11月の試験を受ける | 2027年度版 | 入門書は2026年10〜11月から。テキストと過去問は例年12月ごろだが、合格のトリセツの3点は2026年11月9日発売予定 |
| まだ受験年を決めていない | — | 年度版を待つより、無料の過去問で試験を見てから決めるほうが速い |
試験日は毎年11月の第2日曜日です。9月にテキストを買い始めるなら、狙いは翌年になります。その場合、いま2026年度版を買うと、本番までに1回改訂をまたぐことになります。年度版の切り替えと試験日の関係は行政書士の試験日でも、4月1日の基準日を軸に整理しています。
厚さと付属物 ── 実物の仕様を並べる
「範囲が広い」とよく言われますが、実物が何ページあるかは、あまり書かれていません。2026年9月8日と9月23日にAmazonの商品ページで確認した仕様を並べます。
| 書名 | ページ数 | 付属・特徴 |
|---|---|---|
| 合格革命 行政書士 基本テキスト | 1,152ページ | フルカラー/赤シート対応/別冊六法つき |
| みんなが欲しかった!行政書士の教科書 | 1,222ページ | フルカラー/別冊試験六法つき/一問一答式の確認問題 |
| 出る順行政書士 合格基本書 | 1,064ページ | 別冊六法つき |
| 行政書士 合格のトリセツ 基本テキスト | 1,043ページ | オールカラー/5分冊セパレート/赤シート/用語索引・判例索引 |
| うかる!行政書士 総合テキスト | 848ページ | フルカラー/別冊『ハンディ行政書士試験六法』つき/民法・行政法のPDF |
| 合格革命 行政書士 肢別過去問集 | 1,032ページ | 全2,766肢/本試験過去問+オリジナル問題 |
| 合格革命 行政書士 基本問題集 | 796ページ | 本試験過去問+オリジナル問題/出題傾向表 |
| みんなが欲しかった!行政書士の5年過去問題集 | — | 過去5年分/解説に正解率つき/赤シート |
| 出る順行政書士 ウォーク問 過去問題集1 法令編 | 1,261ページ | 過去10年分/3分冊セパレート/アプリ付 |
| 出る順行政書士 ウォーク問 過去問題集2 基礎知識編 | 348ページ | 過去10年分/アプリ付 |
| 出る順行政書士 良問厳選 肢別過去問題集 | 1,067ページ | アプリ付 |
| 出る順行政書士 合格問題集 | 415ページ | アプリ付 |
基本テキストは、5つのうち4つが1,000ページを超えます。みんなが欲しかったが1,222ページ、合格革命が1,152ページ、出る順が1,064ページ、合格のトリセツが1,043ページ。うかる!だけが848ページで、いちばん厚いものとは374ページ違います。過去問集を足すと2,000ページ台になります。「範囲が広い」というのは、この厚さのことです。
試験は毎年11月の第2日曜日です。仮に9月から始めて14か月あるとすると、テキスト1,200ページを1周するだけで1日3ページ弱。周回を前提にするなら、1日10ページ前後が最低ラインになります。この見積もりができるかどうかが、独学を続けられるかの分かれ目です。
六法は別に買わなくてよい
法律の勉強と聞くと六法が要りそうですが、5つのうち4つは、基本テキストに六法が付いています。合格革命の基本テキストとみんなが欲しかったの教科書は別冊の試験六法、出る順の合格基本書も別冊六法つき、うかる!の総合テキストには別冊『ハンディ行政書士試験六法』が付きます。別冊六法の記載がないのは合格のトリセツだけです。条文を引くだけなら、まずこれで足ります。
市販の六法を買い足すのは、条文の細かい枝番まで確認したくなってからで間に合います。最初から揃えると、使わないまま重いだけになります。どの科目で買い足す価値があるかは、設問文を6年分数えた行政書士の六法・判例集は必要かで科目ごとに出しています。
過去問は5年分と10年分で性格が違う
過去問集は収録範囲が分かれます。みんなが欲しかったの5年過去問題集は過去5年分を年度ごとに、出る順のウォーク問は過去10年分を科目の項目ごとに並べています。合格革命の肢別過去問集は年度でまとめず、肢単位で2,766肢に分解しています。
| 型 | 代表例 | 向いている使い方 |
|---|---|---|
| 年度別(5年) | みんなが欲しかった!行政書士の5年過去問題集 | 本番と同じ形で時間を計って解く |
| 項目別(10年) | 出る順行政書士 ウォーク問 過去問題集 | 論点ごとに10年分の出題の繰り返しを見る |
| 肢別 | 合格革命 行政書士 肢別過去問集 | 1肢ごとに正誤を判断する練習を積む |
前に書いた「初見で正解できた割合」を測るなら、肢別のほうが数えやすいです。1肢ごとに正誤が付くので、母数が大きく、割合が安定します。年度別は本番の形に慣れる用途で、測定には向きません。
アプリ・電子版・ダウンロードサービス
| シリーズ | 付属するもの |
|---|---|
| 出る順行政書士 | ウォーク問と合格問題集にアプリ付/直前予想模試に記述式の解説動画 |
| 合格革命 | 40字記述式・多肢選択式問題集に答案用紙のダウンロードサービス |
| みんなが欲しかった! | 40字記述式問題集に解答用紙のダウンロードサービス |
| 合格のトリセツ | 基本問題集にアプリ付(一問一答式・5肢選択式・多肢選択式。記述式は入らない/登録期限2026年11月8日)/テキストと問題集に全編無料の講義動画 |
| うかる! | 総合テキストに「民法」「行政法」のPDF/テキストと問題集に伊藤塾講師の解説動画 |
通勤時間に問題を回したいなら、アプリが付いている出る順か合格のトリセツが扱いやすいということになります。ただし合格のトリセツのアプリに記述式は入りません。記述式は紙に書く練習が要るので、答案用紙が手元に用意できるかは実務的な差になります。
行政書士試験の記述式60点に、専用の1冊が要るか
300点のうち60点が記述式です。40字程度で書かせる問題が3問、1問20点。択一式は1問4点ですから、記述式の1問は択一15問分、3問そろえば45問ぶんに相当し、5肢択一の全出題数40問を上回る計算になります。
この60点をどう見積もるかで、必要な教材が変わります。前の章で見たとおり、0点と置くなら択一だけで33問、24点前後を見込むなら27問。差は6問です。この6問ぶんが、専用の1冊を入れるかどうかで動きます。6問をどの番号で取るかは行政書士の足切りに、過去6年の出題を分けて書いてあります。
記述式だけの1冊を出しているシリーズと、出していないシリーズがある
基本テキストの中に記述式の章はあります。ただし演習量は足りません。合格革命・みんなが欲しかった!・出る順の3つは、記述式だけを扱う1冊を別に出しています。テキストの中の数ページでは書く量が確保できないと、編集側も判断しているということです。
ただし残る2つには、記述式専用の1冊がありません。うかる!は記述式の問題を総合問題集744ページの中に入れています。合格のトリセツは問題集ではなく、「多肢選択式・記述式に出る 重要判例解説」という判例集の形で当てています。記述式を1冊ぶん演習したいなら、シリーズをそろえる前提が崩れる。ここは選ぶ前に知っておいたほうがいい差です。
| 書名 | ページ数 | 特徴 |
|---|---|---|
| 合格革命 行政書士 40字記述式・多肢選択式問題集 | 292ページ | 多肢選択式も同じ1冊に入る/基礎編・応用編の2段階/答案用紙DLサービス |
| みんなが欲しかった!行政書士の40字記述式問題集 | 432ページ | 記述式に絞る/解答用紙DLサービス |
| 出る順行政書士 40字記述式・多肢選択式問題集 | 255ページ | 多肢選択式も同じ1冊に入る/練習用解答用紙つき |
| 行政書士 合格のトリセツ 多肢選択式・記述式に出る 重要判例解説 | 424ページ | 問題集ではなく判例解説/判例解説動画つき |
| うかる!行政書士 総合問題集 | 744ページ | 記述式専用の1冊はなく、総合問題集に記述式を収録 |
| 出る順行政書士 当たる!直前予想模試 | 446ページ | 模試の中で記述式を扱う/記述式の解説動画つき |
合格革命と出る順の1冊は多肢選択式(24点)も同時に扱います。記述式60点と合わせて84点。5肢択一に換算すれば21問ぶんにあたるので、1冊で両方を見るなら、この2つのほうが取れる範囲は広くなります。みんなが欲しかったの1冊は記述式に絞るかわりに432ページあり、演習量では上回ります。
書く練習は、紙でしかできない
40字程度で「書く」問題です。選択肢を選ぶ練習をいくら積んでも、書く練習にはなりません。合格革命とみんなが欲しかったに答案用紙のダウンロードサービスが付き、出る順が練習用解答用紙を冊子に綴じ込んでいるのは、そこを紙でやらせるためです。
採点基準は公表されていません。つまり自分の答案が何点なのかを自分で判断することになるので、解説がどこまで書き込まれているかは、この教材に限っては直接、得点の見積もりの精度に効きます。出る順が解説動画を付けているのも同じ理由でしょう。
足切りのある基礎知識56点をどうするか
基礎知識は14問・56点です。ここで24点(6問)を取れないと、他が満点でも不合格になります。この足切りは公表されている合格基準の1つです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 出題数 | 14問(5肢択一式) |
| 配点 | 56点(300点中) |
| 足切り | 24点以上。1問4点なので6問正解 |
| 出題範囲 | 一般知識/行政書士法等行政書士業務と密接に関連する諸法令/情報通信・個人情報保護/文章理解 |
分野ごとの出題数は公表されていません。年度によって配分が動きます。「文章理解が3問」といった数字を前提に計画を立てると、その配分が変わった年に、対策していない分野へまとめて振られることになります。
市販教材が薄いのはここ
法令科目のテキストは1,000ページを超えます。基礎知識は、その後ろに数十ページ。出る順だけが、ウォーク問の基礎知識編を348ページの別冊として独立させています。
薄いのは手抜きではありません。範囲が定まらないので、書きようがないのです。一般知識には政治・経済・社会が入り、時事の色があります。結果として、テキストで押さえられるのは行政書士法と個人情報保護法という「条文がある部分」に偏り、それ以外は各自の常識に委ねられます。
確実に取りにいけるのは2つ
| 分野 | 対策の立てやすさ | 理由 |
|---|---|---|
| 行政書士法等 | 立つ | 条文が決まっている。範囲が狭い |
| 情報通信・個人情報保護 | 立つ | 個人情報保護法という条文がある |
| 文章理解 | 立つ | 読解問題であり、法律知識を前提としない |
| 一般知識(政治・経済・社会) | 立ちにくい | 範囲に上限がない |
6問という足切りラインは、対策が立つ3分野だけで届く数字です。一般知識を捨てても合格基準は満たせます。基礎知識に何十時間もかけるより、法令科目に回したほうが総得点は伸びます。
行政書士の教材費を下げる方法と、下げてはいけないところ
電子版
主要5シリーズは、いずれもKindle版が出ています。ただし値引き幅はそろっていません。紙より80円から330円安く、率にすると2.6%から10%まで開きがあります。
| 書名 | 紙(単行本) | Kindle版 | 差額 |
|---|---|---|---|
| 合格革命 行政書士 基本テキスト | 3,190円 | 2,871円 | 319円(10.0%) |
| みんなが欲しかった!行政書士の教科書 | 3,300円 | 2,970円 | 330円(10.0%) |
| 出る順行政書士 ウォーク問 過去問題集1 法令編 | 2,970円 | 2,800円 | 170円(5.7%) |
| うかる!行政書士 総合テキスト | 3,300円 | 2,970円 | 330円(10.0%) |
| 行政書士 合格のトリセツ 基本テキスト | 3,300円 | 3,200円 | 100円(3.0%) |
| 出る順行政書士 合格基本書 | 3,080円 | 3,000円 | 80円(2.6%) |
| 合格革命 行政書士 40字記述式・多肢選択式問題集 | 1,650円 | 1,568円 | 82円(5.0%) |
ただし赤シートは紙の付属品なので、電子版では使えません。合格革命の基本テキストもみんなが欲しかったの教科書も、赤シートで隠して覚える前提で作られています。この機能を捨てるかどうかが、価格差より大きい判断です。
向き不向きははっきりしています。書き込み、付箋、周回ごとの正誤マークを使う過去問と記述式は紙のほうが速く、通読するだけのテキストなら電子で困りません。テキストは電子、演習は紙。
中古と前年度版
前の章のとおり、前年度版は買ってはいけません。法令は試験年度の4月1日時点で出題され、基礎知識は令和6年度から区分が変わっています。数百円の節約と引き換えに、改正部分を丸ごと落とします。
中古で買ってよいのは、年度表記のない本だけです。入門書や勉強法の本がこれにあたります。
図書館
自治体の図書館には資格書が入っています。ただし年度版は入れ替えが遅く、貸出期間も2週間程度。1年使う本を借り続けるのは無理です。
図書館が向くのは、買う前に中身を見る用途です。5シリーズの基本テキストを並べて、レイアウトと文体が自分に合うかを確かめる。これは書店でもできます。
下げてはいけないところ
| 項目 | 下げてよいか | 理由 |
|---|---|---|
| 入門書 | 下げてよい | 公式の無料公開や図書館で代替できる |
| 基本テキスト | だめ | 年度版。改正が反映されない |
| 過去問集 | だめ | 年度版。解説が旧法のまま |
| 記述式 | だめ | 演習量そのものが得点になる |
| 直前予想模試 | 状況による | 時間を計る練習が要らないなら省ける |
| 受験手数料 | 下げられない | 10,400円。返還されない |
行政書士の独学の総費用を出しておく
教材費だけを見ても、独学に必要な金額は出ません。受験にかかるものを足します。
| 項目 | 金額 | 備考 |
|---|---|---|
| 受験手数料 | 10,400円 | 一度払うと返還されない |
| 基本テキスト | 3,190円〜3,300円 | — |
| 過去問集 | 2,860円〜3,850円 | 型によって異なる |
| 記述式対策 | 1,650円〜1,760円 | — |
| 直前予想模試 | 1,760円 | — |
| 写真・郵送など | 数百円〜 | 出願の実費 |
| 合計の目安 | 約2万円〜2万2千円 | — |
教材を一式そろえても、受験手数料を含めて2万円台に収まります。通信講座は数万円から数十万円なので、金額だけを見れば独学が圧倒的に安い。ただしこれは、続けられた場合の金額です。
申込者の約2割は受験していません。2万円で受からなかった年を1回はさむと、翌年の教材費が上乗せされます。年度版が変わるので、落ちると教材はほぼ買い直しになります。
買い直しが必要になるケース
| 場面 | 買い直しが要るか | 理由 |
|---|---|---|
| 同じ年度内に別シリーズへ乗り換える | 要る | 章立ての対応が消える |
| 翌年に持ち越す | ほぼ要る | 法令は試験年度の4月1日時点。改正が反映されない |
| 基礎知識だけ前年版を使う | 要る | 令和6年度から区分が変わっている |
| 直前予想模試だけ買い足す | 要らない | 単体で使える |
行政書士の模試はいつ買うか
直前予想模試は、本試験と同じ形式で時間を計るための教材です。知識を増やす本ではありません。2026年版の4冊の違いと、本番までに何冊要るかは行政書士の予想問題集(直前模試)にまとめました。
| 書名 | ページ数 | 特徴 |
|---|---|---|
| 合格革命 行政書士 法改正と直前予想模試 | 444ページ | 法改正の解説が同じ1冊に入る/本試験と同形式 |
| 出る順行政書士 当たる!直前予想模試 | 446ページ | 記述式の解説動画つき |
合格革命のほうは法改正のまとめを兼ねています。前の章で見たとおり、出題は試験年度の4月1日時点の法令です。テキストを買った時期によっては、そのあとの改正が入っていません。この1冊で差分を確認できる、という位置づけになります。
試験は3時間、60問。1問あたり3分です。書く時間を残すには択一を3分未満で処理しなければならず、この配分は、実際に時間を計って解いてみないと身につきません。模試を「点数を見る道具」だと思っていると、買う意味の半分を捨てることになります。
行政書士のテキストは何冊必要か
表3の5つの役割のうち、最初から要るのは3つです。
| 順番 | 買うもの | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | 基本テキスト | 法令等244点の土台。ここが無いと過去問の解説が読めない |
| 2 | 過去問集 | 択一160点と基礎知識56点は過去問の反復で作る |
| 3 | 記述式対策 | 記述式60点。0点だと択一で75.00%が必要になる |
| 4 | 問題集(分野別) | テキストの理解を区切って確認する。過去問で代替できる場合もある |
| 5 | 直前予想模試 | 3時間の時間配分を試す。試験2〜3か月前でよい |
最初に買うのは1と2の2冊で足ります。記述式対策は、択一がある程度取れるようになってからで間に合います。5つ全部を最初にそろえると1万円を超えますが、使い切らないまま試験日を迎えるほうが損失は大きい。
行政書士の過去問は、買ったあと何回回すか
ここは、おすすめ記事がほとんど答えていない部分です。
公表されている数字から言えることは、必要な正答率は思ったより低いということです。
| 出題形式 | 出題数 | 満点 | 合格ラインの目安 | 正答数の目安 |
|---|---|---|---|---|
| 法令等 5肢択一式 | 40問 | 160点 | — | 28問前後で112点 |
| 法令等 多肢選択式 | 3問(12空欄) | 24点 | — | 8空欄で16点 |
| 法令等 記述式 | 3問 | 60点 | — | 24点前後 |
| 基礎知識 5肢択一式 | 14問 | 56点 | 24点以上が必須 | 8問で32点 |
| 合計 | 60問 | 300点 | 180点以上 | この積み方で184点 |
5肢択一で40問中28問、7割です。12問間違えても合格します。
つまり過去問を回す目的は、全問正解できるようにすることではありません。「解ける問題を確実に解ける状態にすること」と「解けない問題を早く見切ること」の2つです。試験時間は3時間で60問、1問あたり3分しかありません。
何周が正解か、という問いには答えがない
周回数を決めても意味がありません。同じ3周でも、解説を読み込む人と答えを覚える人では別物になります。
数えるなら、「初見で正解できた問題の割合」のほうです。肢別過去問集なら1肢ごとに正誤が付くので、その割合で測れます。
では、何割を目標にすればいいのか。ここは公表されている数字から計算できます。
まず前提として、合格ラインは試験全体で180点、300点の60.0%です。ここは実施団体が公表している数字で、動きません。
ただし、その180点をどこで積むかによって、5肢択一に求められる正答数は変わります。記述式は3問60点ありますが、部分点の付き方が受験者側からは読めません。だから記述式を低めに見積もって、択一で先に積んでおくという考え方があります。
多肢選択式を12空欄中8つ(16点)、基礎知識を14問中8問(32点)と置いて計算すると、こうなります。
| 記述式の見込み | 択一等で必要な点数 | 5肢択一で必要な点数 | 必要な正答数 | 40問に対する割合 |
|---|---|---|---|---|
| 0点 | 180点 | 132点 | 33問 | 82.5% |
| 12点 | 168点 | 120点 | 30問 | 75.0% |
| 24点 | 156点 | 108点 | 27問 | 67.5% |
| 30点 | 150点 | 102点 | 26問 | 65.0% |
| 40点 | 140点 | 92点 | 23問 | 57.5% |
記述式を24点と見込むなら5肢択一は27問、0点と見込むなら33問。同じ180点でも、必要な正答数は6問ちがいます。肢別過去問の初見正答率をどこに置くかは、記述式にどれだけ賭けるかで決まります。
よく言われる「7割」は、記述式を24点前後と見込んだ場合の目安です。合格ラインそのものが7割なのではありません。記述式を捨てる前提なら8割を超える必要があり、そちらのほうが現実には厳しくなります。
専門用語が覚えられない段階では、まだ回数の問題ではありません。テキストの該当箇所に戻る回数が多いはずなので、そこは過去問より、テキストの周回数を数えるほうが実態に合います。
よくある質問
行政書士のテキストは何冊必要ですか?
最初に買うのは、基本テキストと過去問集の2冊で足ります。記述式対策の問題集は択一がある程度取れるようになってから、直前予想模試は試験の2〜3か月前でかまいません。
前年度版や中古のテキストでもいいですか?
おすすめしません。法令は試験の年度の4月1日時点のもので出題され、基礎知識も令和6年度から区分が変わっています。前年度版を安く買うと、その1年分の改正がそのまま失点になります。
六法は別に買う必要がありますか?
最初は要りません。主要5シリーズのうち4つは、基本テキストに別冊の六法が付いています。
独学だと、全部でいくらかかりますか?
基本テキスト・過去問集・記述式対策・直前予想模試に受験手数料10,400円を足して、約2万円から2万2千円です。
まとめ
- 本試験の問題は令和2年度から令和7年度までの6年分が無料で公開されている。買う前に1年分解ける
- 合格に必要なのは300点中180点。法令等122点と基礎知識24点の足切りが別にある
- 基礎知識は配点2割弱だが、14問中6問を落とすと他が満点でも不合格
- 記述式60点を0点と見込むと、択一だけで75.00%が必要になる
- 市販教材は5つの役割に分かれる。最初に要るのは基本テキストと過去問の2冊
- 中核3冊で6,000円前後から10,000円弱。記述式と直前対策を足すと1万円台前半
- どのシリーズかより、何年度版かのほうが失点に直結する
- 法令は試験年度の4月1日時点で施行されているものから出る
- 基礎知識は令和6年度から適用された新しい区分。令和5年度以前は「一般知識等」だった
教材選びで迷う時間は、過去問を1年分解く時間より長くなりがちです。先に解いてみてください。自分に足りないものが具体的に見えます。そのあとで本を選ぶほうが、結局は速い。
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