行政書士の足切り、基礎知識はどこで点を取るか

基礎知識の問題47〜60を14のマスで表し、分野を色分けして、足切りライン6問(24点)を示した図 行政書士

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行政書士試験の基礎知識には「足切り」がありますよね。14問のうち6問(24点)を下回ると、法令等が満点でも不合格です。範囲に上限のない一般知識が含まれるので、対策のしようがないと言われると不安になります。

調べると、範囲の決まっている問が毎年ちゃんとあることがわかります。過去6年分の問題47〜60を1問ずつ分けると、令和5年度までは範囲の決まっている問がちょうど6問。令和6年度の改正で、それが8〜9問に増えています。取りにいく番号を決めておけば、足切りは対策できます。

行政書士試験の足切りの決まりは、合否判定基準に3行で書いてある

まず決まりを確かめます。公表されている合否判定基準には、こう書いてあります。

条件内容
(1)行政書士の業務に関し必要な法令等科目の得点が、122点以上である者
(2)行政書士の業務に関し必要な基礎知識科目の得点が、24点以上である者
(3)試験全体の得点が、180点以上である者
表1 合格基準点(出典:行政書士試験研究センター「令和7年度行政書士試験合否判定基準」)

3つとも満たして合格です。基礎知識は5肢択一14問、1問4点で56点満点。24点は6問にあたります。受験案内では「満点の40パーセント以上」と書かれていて、56点の40%は22.4点。1問4点なので、切り上げて6問です。

怖いのは(2)の独立性です。法令等で200点を取っても、基礎知識が5問だと(2)を満たさず不合格になります。合計点の180点は(3)で別に見ているので、基礎知識の不足は法令等の点では埋まりません。3つの基準の全体は行政書士試験の難易度は?公式データで見る合格率・合格基準・受験者層に書いてあります。

14問の内訳は、公表されていない

では14問は何から出るのか。試験の概要には、こう書かれています。

区分内容
行政書士の業務に関し必要な基礎知識(出題数14題)一般知識、行政書士法等行政書士業務と密接に関連する諸法令、情報通信・個人情報保護及び文章理解の中からそれぞれ出題
表2 基礎知識の出題範囲(出典:行政書士試験研究センター「試験の概要」)

4つの分野名は書いてありますが、何問ずつ出るかは書かれていません。科目別の配点が公表されていないのと同じ構図です(行政書士の科目別の配点|公表されていないので、過去6年を数えて出した)。だから数えました。

行政書士試験の基礎知識14問の中身を、6年ぶん並べる

公開されている問題47〜60を、設問文と選択肢を読んで分野に分けました。問題58〜60は毎年「著作権の関係から掲載しておりません」とされていて読めません。公開されている11問に文章そのものを素材にした問は1つも無く、非公開はこの3問だけなので、この記事では問題58〜60を文章理解の3問と見なしています。令和5年度は問題56も非公開で、こちらは分類できません。

行政書士試験の問題47〜60を6年ぶん、分野で色分けしたもの
図1 行政書士試験の問題47〜60を6年ぶん、分野で色分けしたもの
年度政治経済社会行政書士法等情報通信個人情報保護文章理解非公開
令和2年度224—123—
令和3年度323—123—
令和4年度314—213—
令和5年度322—2131
令和6年度2122313—
令和7年度2312213—
表3 行政書士試験の基礎知識14問の分野別の問数(★この記事の分類。文章理解の3問は非公開のため推定)

並びは6年間ほとんど動いていません。問題47から一般知識(政治・経済・社会)、そのあとに情報通信と個人情報保護、最後の3問が文章理解。問題57は6年とも個人情報保護でした。

令和6年度から、問題52〜54のあたりに「行政書士法等諸法令」が2問入りました。令和6年度は行政書士法と住民基本台帳法、令和7年度は行政書士法と戸籍法です。そのぶん一般知識が8問から5〜6問に減っています。

令和5年度までは、範囲の決まる問がちょうど6問だった

ここからがこの記事の本題です。14問を2つに分けます。

区分分野理由
範囲の決まっている問行政書士法等諸法令/情報通信/個人情報保護/文章理解法律の条文、用語の定義、文章の読解。教材で範囲を閉じられる
上限のない問一般知識(政治・経済・社会)時事を含む。何が出るかは年ごとに変わり、教材で範囲を閉じられない
表4 14問を2つに分ける(★この記事の分け方)

この分け方で6年を数えると、こうなります。

行政書士試験で範囲の決まっている問の数と、足切りの6問
図2 行政書士試験で範囲の決まっている問の数と、足切りの6問
年度範囲の決まっている問一般知識非公開足切り6問との差
令和2年度68—0
令和3年度68—0
令和4年度68—0
令和5年度6710
令和6年度95—+3
令和7年度86—+2
表5 範囲の決まっている問の数(★この記事の集計。文章理解3問を含む)

令和2年度から5年度までは、範囲の決まっている問がちょうど6問です。足切りが6問なので、情報通信・個人情報保護・文章理解を1問も落とせない。落とした瞬間に、上限のない一般知識から拾ってこなければならない設計でした。「一般知識は運」と言われてきた理由が、ここにあります。

令和6年度に行政書士法等が2問入って、範囲の決まる問は9問(令和7年度は8問)になりました。2〜3問の余裕が初めてできています。足切りの怖さは、制度が変わった2年で目に見えて下がった、というのがこの数字の読み方です。

ただし、これは公開されている問を数えた結果です。文章理解の3問は読めていないので、「3問ある」は推定です。出題の構成は変わることがあります。令和8年度以降も同じ形かどうかは、11月に問題が公表されてから数え直します。

範囲の決まっている問で、何が出たか

取りにいく側の8〜9問を、主題ごとに並べます。

行政書士法等諸法令(令和6年度から)

年度問主題
令和6問題52行政書士法
令和6問題53住民基本台帳法
令和7問題53行政書士法
令和7問題54戸籍法
表6 行政書士法等諸法令の出題(★この記事の分類)

2年とも行政書士法が1問。もう1問は住民基本台帳法と戸籍法で、どちらも住民票や戸籍という、行政書士が日常的に扱う書類の法律です。条文がある分野なので、六法で読めば範囲が閉じます。条文型の勉強がどこで効くかは行政書士の六法・判例集は必要か|過去6年267問を、条文型と判例型に数えたで扱いました。

個人情報保護

年度問主題
令和2問題56行政機関個人情報保護法
令和2問題57個人情報保護法
令和3問題55顔認識と個人情報保護法
令和3問題57国の行政機関の個人情報保護制度
令和4問題57個人情報保護制度
令和5問題57個人情報
令和6問題57個人情報保護法
令和7問題57個人情報保護制度
表7 個人情報保護の出題(★この記事の分類)

6年とも問題57が個人情報保護で、令和2・3年度はさらに1問、国の行政機関の個人情報保護が別に出ています。毎年必ず1問ある、いちばん確実な1問です。

情報通信

年度問主題
令和2問題55インターネット通信の略称
令和3問題56自動運転のレベル
令和4問題55人工知能(AI)
令和4問題56情報通信用語
令和5問題54行政のデジタル化
令和5問題55情報通信用語
令和6問題54デジタル環境の情報流通
令和6問題55欧米の情報通信法制
令和6問題56デジタル庁
令和7問題55ディープフェイク
令和7問題56なりすまし広告と投資詐欺
表8 情報通信の出題(★この記事の分類)

用語の定義が中心です。AI、顔認識、自動運転、デジタル庁、ディープフェイク、なりすまし広告。主題は年ごとに新しくなりますが、問われているのは「その言葉が何を指すか」で、時事の知識ではありません。令和6年度は3問、令和7年度は2問ありました。

文章理解(非公開)

問題58〜60は毎年非公開なので、この記事では中身を確かめられません。3問あることも推定です。ただ、非公開の理由が「著作権の関係」と明記されているので、他人の文章を素材にした問であることは分かります。実施団体のサイトでは読めないので、形式は市販の教材で確かめることになります。

上限のない一般知識で、何が出たか

反対側の一般知識も並べておきます。範囲が閉じないことを、主題で確かめるためです。

年度問主題
令和2問題47普通選挙
令和2問題48フランス人権宣言
令和3問題47オリンピックと政治
令和3問題48新型コロナ対策と政治
令和3問題49公的役職の任命
令和4問題47ロシア・旧ソ連の外交
令和4問題48ヨーロッパの国際組織
令和4問題49軍縮
令和5問題47G7サミット
令和5問題48テロ対策
令和5問題491960年代以降の東南アジア
令和6問題47政治
令和6問題48中東・パレスチナ
令和7問題47住民投票
令和7問題48政党と政治
令和2問題49バブル経済
令和2問題50国債制度
令和3問題50ふるさと納税
令和3問題51国際収支
令和4問題51GDPと1人当たりGDP
令和5問題50法人課税
令和5問題51金融政策
令和6問題49外国為替
令和7問題49米価
令和7問題50自由貿易と関税
令和7問題51経済
令和2問題51子ども・子育て政策
令和2問題52新しい消費の形態
令和2問題53地域再生・地域活性化
令和2問題54人口動態
令和3問題52エネルギー政策
令和3問題53先住民族
令和3問題54ジェンダー
令和4問題50郵便局
令和4問題52森林・林業
令和4問題53米国の平等と差別
令和4問題54地球環境問題の国際協力
令和5問題52平等と差別
令和5問題53社会保障・社会福祉
令和6問題50日本における外国人
令和6問題51ジェンダー
令和7問題52ジェンダーと平等
表9 一般知識(政治・経済・社会)の出題(★この記事の分類)

フランス人権宣言から米価まで、6年で42問。繰り返し出ているのはジェンダーと平等・差別(4回)くらいで、あとは一度きりの主題です。オリンピック、新型コロナ、G7、中東と、その年の出来事がそのまま入っています。ここは教材では閉じません。

だから一般知識は、取れたら足す点数として扱います。6問の土台は範囲の決まっている側で作る。一般知識で1問取れれば7問、2問取れれば8問。足切りは土台の側で決まります。

足切りを越える6問の取り方(この記事の判断)

ここまでの数字から、番号で言えます。

優先問分野根拠
1問題57個人情報保護6年連続。個人情報保護法の条文で範囲が閉じる
2問題58〜60文章理解推定3問。法律知識が要らず、過去問題集で形式に慣れれば取れる
3問題52〜54のうち2問行政書士法等諸法令行政書士法は2年連続。もう1問は住基法・戸籍法
4問題54〜56のうち2〜3問情報通信用語の定義。主題は新しいが問い方は同じ
—問題47〜51一般知識取れたら足す。ここで6問を作らない
表10 行政書士試験の足切りの6問を取る順番(★この記事の判断です。番号は令和6・7年度の並び)

優先1〜4で8〜9問。(法令等の記述式は別枠で、行政書士の記述式に正解例を並べています)このうち6問取れば足切りは越えます。一般知識に手を広げる前に、この8〜9問を落とさない状態を作るのが先です。

教材でいうと、合格革命 行政書士 基本テキストは第3分冊が商法・基礎法学・基礎知識で、基礎知識だけを分冊で持ち歩けます。テキストの選び方の全体は行政書士のテキストと過去問|300点の設計から逆算してそろえるに、時間の配分は行政書士の勉強時間は800時間?|公式に数字は無いので、教材の量から自分で出すにまとめています。

令和8年度の問題は2026年11月16日以降に公表されます。この記事の数字に令和8年度の1行を足すのは、そのあとです。公表の日程は行政書士の試験日|2026年11月8日。申し込めるのは1年のうち35日間だけにあります。

よくある質問

行政書士試験の足切りは何点ですか?

基礎知識14問のうち6問、24点です。これを下回ると、法令等が満点でも不合格になります。

足切りの対策はできますか?

できます。令和6年度からは範囲の決まっている問が8〜9問あり、行政書士法等の諸法令・個人情報保護・情報通信・文章理解から点を取りにいけます。

問題57には何が出ますか?

過去6年は、6年連続で個人情報保護の問題でした。

この記事でわかったこと

問い答え
足切りの基準は基礎知識14問中6問(24点)以上。法令等の点で埋め合わせできない
範囲の決まっている問は何問か令和5年度まで6問ちょうど。令和6年度9問、令和7年度8問
毎年ある問は問題57の個人情報保護(6年連続)。文章理解3問(非公開・推定)
令和6年度で何が変わったか行政書士法等が2問入り、一般知識が8問から5〜6問に減った
一般知識は6年42問で42種類の主題。教材で閉じない。取れたら足す点数
どこで6問を作るか問題52〜60の範囲の決まっている8〜9問
表11 まとめ(★数字はこの記事の集計。2026年9月12日時点)

この記事で確認した資料

合格基準点と配点は一般財団法人行政書士試験研究センター「令和7年度行政書士試験合否判定基準」、出題範囲は同センター「試験の概要」、問題は同センターが公開している令和2年度から令和7年度の「試験問題」によります。非公開の問の注記は「過去の試験問題と正解」のページの記載です。

分野の分類、「範囲の決まっている問」という分け方、問題58〜60を文章理解と見なすこと、6問の取り方は、この記事で行った判断です。問題を読んだ人が違えば、分類が1〜2問動くことはあります。

いずれも2026年9月12日に確認しました。出題の構成は変わることがあります。

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