行政書士の行政法、直前期はどこから読むか

六法の3か所に色分けした付箋を貼り、カレンダーと時計を横に置いた勉強机のイラスト 行政書士

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9月の終わりから数えると、11月8日の試験までは6週間ほどです。テキストを最初から回し直すには、もう足りません。

行政法で読み直すなら、行政手続法・行政不服審査法・行政事件訴訟法の3つです。令和2〜7年度の試験問題を1問ずつ分けました。問題11〜19の9問は、6年54問のうち53問がこの3つの法律です。記述式の問題44も、6年とも行政事件訴訟法か行政手続法から出ています。

条文の量は、3法を合わせても本則で約5.4万字。民法の3分の1ほどです。6週間で1周するなら、1日1,300字ほどです。

行政書士試験の問題11〜19は、毎年同じ3つの法律から出ている

行政法の5肢択一は、問題8から26までの19問です。6年ぶんを法律ごとに塗り分けると、番号の並びがほとんど動いていないことがわかります。

行政書士試験の行政法、問題8〜26を6年ぶん法律ごとに塗り分けた図
図1 行政書士試験の行政法、問題8〜26を6年ぶん法律ごとに塗り分けたもの(★この記事の分類)

問題11〜13が行政手続法、14〜16が行政不服審査法、17〜19が行政事件訴訟法。3問ずつ、この順です。そのあとに国家賠償法が2問、地方自治法が3問続きます。番号ごとに数えると、次のとおりです。

問題番号法律6年で当てはまった数外れた問
11〜13行政手続法17/18令和7年度の問題12(個人情報保護法)
14〜16行政不服審査法17/18令和6年度の問題16(行政不服審査法と行政事件訴訟法の違いを問う1問)
17〜19行政事件訴訟法18/18なし
20〜21国家賠償法12/12なし
22〜24地方自治法18/18なし
8〜10行政法の一般的な理論(行政行為・行政立法・行政裁量など)16/18令和2年度の問題8(国家賠償)・問題10(地方自治法)
25〜26情報公開・公文書管理・判例の横断など—年によって違う
表1 行政書士試験の問題番号と法律の対応(★この記事の分類。令和2〜7年度の問題8〜26、計114問)

令和6年度の問題16は、行政不服審査法と行政事件訴訟法の違いを比べる問題です。3法の中に入れました。これを含めると、問題11〜19の54問のうち、3つの法律から外れたのは令和7年度の問題12の1問だけです。ほぼ固定と言っていい並びです。

分け方は、設問文の書き出しが「行政手続法の規定に関する」「行政事件訴訟法が定める」のように法律を名指ししていればその法律に入れ、書き出しで決まらない問題は選択肢まで読んで決めました。実施団体は法律ごとの問題数を公表していないので、この表は公表値ではありません。科目ごとの配点を同じ方法で数えた結果は行政書士の科目別の配点にあります。

3つ合わせても、条文は民法の3分の1

毎年9問前後が出るとして、読む量はどれくらいか。e-Gov法令検索で、それぞれの法律の本則(附則を除いた本体)の字数を数えました。

法律条の数本則の字数択一(6年の合計)記述式
行政手続法4816,571字17問問題44で1回
行政不服審査法8724,012字17問+比較1問—
行政事件訴訟法5113,508字18問問題44で5回
民法1,152155,952字毎年9問(問題27〜35)問題45・46で毎年2問
地方自治法513190,833字21問—
国家賠償法6597字13問—
3つの法律の合計18654,091字53問(毎年8〜9問)6年とも
表2 条文の量と出題数(条の数は削除された条を除き、「第2条の2」のような枝番号を含む。字数は2026年9月25日にe-Gov法令検索で取得した現行法の本則から、空白を除いて数えた。★出題数はこの記事の分類)

行政手続法・行政不服審査法・行政事件訴訟法の合計は186条、約5.4万字でした。民法は1,152条で約15.6万字。地方自治法は513条で約19.1万字あります。3法を足しても、民法の3分の1ほどです。

これを1年あたりの配点に直して、条文1万字あたりで比べたのが図2です。

条文1万字あたりの年間配点を法律ごとに比べた図
図2 条文1万字あたり、毎年何点ぶん出ているか(★この記事の計算)

内訳を見ると、3法は択一で平均8.8問(約35点)、記述式で20点。合わせて約55点です。1万字あたりでは約10点になります。

民法は択一9問と記述式2問で76点。点数そのものは大きいのですが、条文が長いぶん1万字あたりは約5点です。地方自治法は1点に届きません。

もちろん、字数と勉強の手間は同じではありません。民法は事例を読んで当てはめる問題が多く、条文を読むだけでは解けない問も含まれます。

それでも差は2倍。残り6週間で「どこを読めば1問増えるか」を比べる目安としては、十分な開きです。

条文を読めば答えられる問題が、ほとんどを占める

量が少なくても、判例の知識が要るなら話は変わります。読むだけでは足りないからです。そこで、設問文に「判例」という言葉が出てくるかどうかで分けました。

法律6年の問数設問文に「判例」が出てくる出てこない
行政手続法17問1問(「規定または判例に照らし」)16問
行政不服審査法(比較の1問を含む)18問0問18問
行政事件訴訟法18問8問(うち「判例に照らし」だけが5問)10問
国家賠償法13問13問0問
地方自治法21問3問18問
表3 設問文に「判例」が出てくるかどうか(★この記事の分類。設問文の書き出しから「どれか」までを読んで数えた。法律名が書かれていない問も選択肢まで読んで分けたため、法律名だけで数えた「六法・判例集は必要か」の表とは問数が少し違う)

行政手続法と行政不服審査法の35問のうち、設問に判例が出てくるのは1問だけでした。残りはすべて条文の問題です。「規定に関する次の記述のうち」という形で、条文そのものを覚えていれば答えられます。判例集の出番は、ほぼありません。

行政事件訴訟法は18問中8問に判例が出てきます。判例だけを問う5問のテーマは、「訴えの利益」「原告適格」「抗告訴訟の対象」の3つしかありません。取消訴訟を起こせるかどうかを決める、入り口の判例です。行政事件訴訟法は、条文とこの3テーマの判例の2本立てになります。

国家賠償法は6条しかありませんが、13問すべてが判例の問題です。読んでも点にはならないので、ここは判例集か問題集の担当です。どの科目が条文型でどの科目が判例型かは、行政書士の六法・判例集は必要かで6年267問を分けています。

3法の中でも、出るところは偏っている

3法を丸ごと同じ重さで読む必要はありません。問題11〜19の53問を、設問が何について聞いているかで分けると、繰り返し出ている章がはっきりします。

法律6年で出たテーマ問数条文の場所
行政手続法不利益処分(聴聞・弁明の機会の付与・理由の提示)6問第3章(12〜31条)
申請に対する処分(審査基準を含む)4問第2章(5〜11条)
行政指導2問第4章(32〜36条の2)
届出・意見公募手続各1問37条、第6章(38〜45条)
用語の定義・努力義務など法全体3問—
行政不服審査法審査請求の手続・審理員・執行停止・裁決6問第2章(9〜53条)
法全体から横断4問—
再調査の請求・再審査請求3問第3章・第4章(54〜66条)
不作為についての審査請求2問—
教示2問82条
行政事件訴訟法との違い1問—
行政事件訴訟法訴えの入り口(抗告訴訟の対象・原告適格・訴えの利益)7問第2章第1節(9条など)と判例
取消訴訟の手続・判決・準用3問第2章第1節(8〜35条)
無効確認・義務付け・差止め3問第2章第2節(36〜38条)
出訴期間2問14条
条文の空欄補充・民衆訴訟と機関訴訟など3問—
表4 行政書士試験の問題11〜19の53問を、聞かれているテーマで分けたもの(★この記事の分類。条文の場所はe-Gov法令検索の章立てによる)

行政手続法は17問中10問が第2章と第3章、つまり5〜31条からでした。48条あるうちの27条です。1〜2週目は、ここから読み始めてください。聴聞と弁明の機会の付与だけで、6年に3回出ています。

行政事件訴訟法は、7問が「訴えの入り口」に集まっています。取消訴訟を起こせる処分か、起こせる人か、まだ起こす意味があるか。前の章で見た判例だけを問う5問も、すべてここに入ります。読み進めながら、入り口の判例だけは判例集か問題集で別に確かめてください。

行政書士試験の記述式、問題44も6年とも同じ2つの法律

記述式の行政法は毎年1問、20点です。6年ぶんの正解例を並べると、根拠の法律は2つしかありません。

年度問われたこと根拠の法律
令和2換地処分の無効確認訴訟行政事件訴訟法
令和3行政指導の中止を求める行政手続法
令和4是正命令の義務付け訴訟行政事件訴訟法
令和5差止訴訟と仮の差止めの申立て行政事件訴訟法
令和6免許処分または拒否処分の取消訴訟行政事件訴訟法
令和7裁決取消訴訟(裁決固有の瑕疵)行政事件訴訟法
表5 行政書士試験の記述式、問題44の根拠(実施団体が公表している正解例から整理)

6年のうち5回が行政事件訴訟法、1回が行政手続法です。令和4年度の正解例にある「重大な損害」や、令和5年度の「仮の差止め」は、行政事件訴訟法の条文にそのまま出てくる言葉です。令和7年度の「裁決固有の瑕疵」だけは条文に出てこない言葉で、裁決の取消しの訴えでは処分の違法を理由にできないと定めた10条2項から導かれる考え方です。択一のために条文を読み直すことが、そのまま記述式の準備にもなります。正解例18問の全体は行政書士の記述式に並べています。

6週間で1周するなら、1日1,300字

本則の約5.4万字を42日で割ると、1日約1,300字です。1周目を法律の順に読むと、次の配分になります。

週読む法律字数1日あたり
1〜2週目行政手続法(1〜46条)16,571字約1,200字
3〜4週目行政不服審査法(1〜87条)24,012字約1,700字
5週目行政事件訴訟法(1〜46条)13,508字約1,900字
6週目問題11〜19を令和2〜7年度の6年ぶん解き直す54問1日8問前後
表6 6週間の割り振りの一例(★この記事の提案。字数は表2の本則の字数)

最後の週に過去問を置いているのは、読んだ条文が問題11〜19の形でどう問われるかを確かめるためです。過去6年の問題は実施団体のサイトで無料で公開されています。行政法19問の問題文は1年に約1万字あり、3時間のうち何分を割くかは行政書士試験の時間配分で数えています。3時間通しの練習を日曜の午後に何回入れられるかは、行政書士の予想問題集(直前模試)で数えました。

民法と基礎知識の時間は削らない

この読み直しの時間は、ほかの科目を削って作るものではありません。民法は76点。配点では3法より大きい科目です。基礎知識には14問中6問の足切りがあります。

とくに基礎知識は、6問を下回ると法令等が満点でも不合格になります。範囲の決まっている問が令和6年度から8〜9問に増えていて、取りにいく番号は行政書士の足切りに並べました。1日1,300字は、こうした時間とは別に確保する量として見てください。

条文はどこで読むか

まずは手元の基本テキストに付いている六法を使います。多くの人は、買い足さずに済みます。主要な市販テキスト5シリーズのうち4つには、別冊の六法が付いているからです。シリーズごとの付属物は行政書士のテキストと過去問で比べています。

使っているテキストに六法が付いていない場合、e-Gov法令検索なら3つとも無料で全文を読めます。紙に書き込みながら読みたいなら、試験用の六法を1冊足すことになります。

書名価格ページ数購入先
2026年度版 行政書士試験六法(早稲田経営出版)4,180円1,400ページ楽天 / Amazon
表7 行政書士試験用の六法(2026年9月25日に楽天ブックスとAmazonで確認。価格は税込)

商品ページには「本試験過去問掲載」「準用条文見出し付き」と書かれています。条文と過去の出題を同じ紙面で見られるので、問題11〜19の過去問を解き直す6週目にも使えます。

よくある質問

直前期、行政法はどこから読み直せばいいですか?

行政手続法・行政不服審査法・行政事件訴訟法の3つです。問題11〜19は、過去6年の54問中53問がこの3つの法律から出ていました。

3つの法律の条文は、どれくらいの量ですか?

3つ合わせて約5.4万字で、民法の3分の1ほどです。6週間で1周するなら、1日1,300字になります。

直前期に、民法や基礎知識の時間を削ってもいいですか?

削らないでください。行政法の3つの法律は、民法と基礎知識の時間を残したうえで、すき間の時間に読み進めます。

11月8日、問題11を開いたとき

過去6年と同じ並びなら、問題11から19までは、6週間読み直した3法の問題です。外れたのは6年で1問だけ。

この9問と記述式の問題44を足すと56点。合格基準の180点の、およそ3割です。条文を読み直した範囲がそのまま9問ぶん並んでいれば、残りの時間を民法の事例問題や、民法の記述式2問に回せます。

6週間では今年は間に合わない、と判断する人もいるはずです。その場合も、3法の条文から読み始める順番は、来年に向けた最初の一歩としてそのまま使えます。

試験問題と正解は、実施団体が公開している令和2〜7年度のものを2026年9月25日に確認しました。条文の字数は同日にe-Gov法令検索の現行法で、書籍の価格は同日に楽天ブックスとAmazonで確認しています。法令・試験の内容・価格は変わることがあります。受験の前には、実施団体の最新の案内をご確認ください。

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